2025.06.30
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技術投稿│英語が苦手でも、英語から必要な情報を得るには?

1.自己紹介
ニックネーム:きむ兄
経験年数:1年
生まれも育ちも北海道旭川市。U-16旭川プロコン出場をきっかけとして、国立工業高専・国立大学院へ進学。機械・制御・情報工学を中心とした工学を学んだ。
一般的な制作業務のみならず、特殊な業務を担当することも多い。
はじめまして、きむ兄と申します。大学院からの就職のため、新卒としての入社時点からアラサーです。よろしくお願いします。
2.はじめに
本記事のテーマは「英語が苦手でも、英語から必要な情報を得るには?」です。
読者の皆さんは英語・・・得意でしょうか?私自身、昔は英語を苦手としていました。しかしながら、高専や大学院で研究活動を行う中で、どうしても英語の論文や技術記事を読む必要があり、克服しました。その経験をもとに、英語に苦手意識がある方や英語が得意でない方でも実践できる情報収集の方法をまとめています。
なお、今回は「英語の技術記事や論文の書き方」自体は扱いません。ご要望があれば別記事として、改めて執筆するかも...?
3. 英語文献を読む理由と必要性
多くの方は、「なぜ英語の文献を読む必要があるのか?」「英語が苦手だからできれば読みたくない」と感じる方も多いと思います。しかし、技術分野において英語と無縁でいることは難しいのが現実です。
私もかつては英語に苦手意識がありましたが、「英語を読みたくない」という気持ちを克服し、今では積極的に英語文献を調査するようになりました。
ここで、何故英語文献を、現在も読んでいるのか?となるかと思います。その主な理由は以下の4点となります。
・日本語の情報が少ない場合でも、英語なら必要な情報が見つかることが多い
・公式ドキュメントや一次情報が英語で提供されている場合、より正確な情報を得られる
・論文や技術記事など、信頼性の高い情報源が英語で豊富に存在する
・上記の理由から、最新技術やトレンドをいち早くキャッチできる
英語文献を読むのは簡単ではありませんが、その分得られるメリットも大きいです。次の章からは、実際に英語文献を読むためのコツを実際にお伝えします。
4. 英語文献を検索する
英語で文献を調査するには、段階的な準備が重要です。手順を踏むことで、効率よく必要な情報にたどり着けます。
Step1. 調査内容を日本語で整理する
まずは「何を調べたいのか」を日本語で明確にしましょう。漠然とキーワードを挙げるより、以下のような手順で整理すると効果的です。
・最終的な目的を明確にする
例: 「Laravel 12でシステムを開発したい」
・現在の状況や課題を把握する
例: 「Laravel 12のインストールでエラーが発生している」
・ゴール(解決したいこと)を決める
例: 「Laravel 12を正常にインストールしたい」
・現状の知識や経験、困っている点を整理する
例: 「Laravel 11の経験はあるが、仕様の違いでインストールできない」
このように日本語で状況を整理することで、調査すべき内容が具体的になります。
Step2. 調査キーワードを日本語で列挙する
次に、調べたい内容を日本語のキーワードとして書き出します。
・「php 型 種類」
・「Java バージョン 最新」
・「laravel 403 ドキュメント」
・「Laravel12 インストール失敗」
・「Laravel12 Laravel11 仕様変更」
・「Laravel12 インストール方法 公式」
・「Python エラー 解決方法」
・「SQL クエリ」 など
補足:
キーワードは「技術名+目的・課題・エラー内容・バージョン・公式・手順」など、できるだけ具体的に組み合わせると、後の検索や英訳がスムーズになります。
また、複数の観点(例: エラー内容・バージョン違い・設定方法など)でキーワードを分けておくと、調査の幅が広がります。これらも心がけて、まずは日本語で考えましょう。
Step3. 英語キーワードの草案を作る
日本語で整理したキーワードを、翻訳ツールや辞書を使って英語に変換します。
おすすめの翻訳ツールの例
・DeepL
・Google翻訳
・Googleドキュメントの翻訳機能
・英和・和英辞書(より厳密に調べたい場合)
「英語が苦手…」という場合も、まずは翻訳ツールを活用して英語キーワードの草案を作成しましょう。
Step4. 実際に英語で使う単語を精査する
ここまでで英語キーワードの草案ができましたが、さらに一歩進めて「本当に適切な英語表現か」を確認しましょう。日本語と英語では、同じ意味でも使われる単語やニュアンスが異なる場合が多く、誤った単語を使うと正確な情報にたどり着けないことがあります。
技術分野でよく混同される英単語の例
エラー関連
・Error
: 一般的な誤り全般(実行時や入力ミスなど)
・Bug
: コード上の欠陥や不具合(主に開発段階)
・Issue
: バグ以外にもタスクや改善点など広い意味の「課題」
・Exception
: プログラム実行時に発生する例外
ライブラリ・フレームワーク
・Library
: 必要に応じて呼び出す機能の集合体(例: jQuery)
・Framework
: アプリの骨組みで、コードが「呼び出される側」(例: Vue, Laravel)
関数関連
・Function
: 独立した関数(クラス外で定義)
・Method
: クラスに属する関数
アップロード・リリース関連
・Deploy
: サーバーにコードを配置して本番稼働させること
・Release
: ユーザー向けに新機能や修正を公開すること
・Upload
: ローカルからサーバーにファイルを転送すること
保存・取得関連
・Save
: ファイルやデータを保存する
・Store
: データベースやストレージに格納する
・Fetch
: データを取得する(主にAPIやネットワーク経由)
・Load
: データやファイルを読み込む
インストール・セットアップ関連
・Install
: ソフトウェアやパッケージを導入する
・Setup
: 初期設定や環境構築を行う
・Configure
: 設定ファイルやオプションを調整する
実行・開始関連
・Run
: プログラムやコマンドを実行する
・Start
: サービスやプロセスを開始する
・Execute
: コードやスクリプトを実行する
開発・運用関連
・Develop
: 新機能やアプリを開発する
・Maintain
: 既存システムを保守・運用する
・Support
: 問題解決やユーザー支援を行う
バージョン管理関連
・Commit
: 変更内容をローカルリポジトリに記録する
・Push
: Gitなどでリモートリポジトリに変更を送る
・Merge
: 複数のブランチを統合する
・Branch
: 開発のために分岐を作成する
このように、日本語では同じ言葉でも英語では用途や意味が異なる場合があります。調査したい内容に最も適した単語を選ぶことで、より正確な情報にアクセスできるようになります。
Step5. 実際に英語で調査する
ここまでの手順で適切な英語キーワードが決まったら、いよいよ実際に検索や調査を行いましょう。
5. 英語文献を効率よく探すために
ここまでで考えた英語を使ってインターネットで検索をするだけでも、現在は多くの情報を見つけることができます。これに加えて、検索・調査や英文を読む際のコツを覚えるとより効率良く情報を見つけることができます。ではどのようなものがあるのかを見てみましょう。
検索テクニック:技術情報を効率よく探すために
・完全一致検索
検索ワードをダブルクォーテーション(" ")で囲むことで、フレーズ全体が完全一致するページのみを抽出できます。
例:"Laravel 12 installation error"
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- 〇 Yahoo
・除外検索
検索ワードの前にハイフン(-)を付けると、その単語を含むページを除外できます。
例:laravel migration -wordpress
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- 〇 Yahoo
・特定サイト・ドメイン内検索
site:
演算子を使うことで、特定のサイトやドメイン内だけで検索できます。
例:authentication site:stackoverflow.com
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- 〇 Yahoo
・期間指定検索
「期間指定」を使うことで、最新情報や特定期間の情報に絞り込めます。
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- 〇 Yahoo
・言語・地域指定
検索設定で言語や地域を「英語」「米国」などに絞ることで、英語圏の最新情報や公式情報にアクセスしやすくなります。
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- △ Yahoo 絞りが強くない
・OR検索(いずれかのキーワードを含む)
複数のキーワードのいずれかを含むページを検索したい場合は、OR
(大文字)を使います。
例:laravel error OR exception
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- 〇 Yahoo
・ファイルタイプ指定検索
filetype:
演算子を使うことで、特定のファイル形式(PDF, PPT, DOCなど)に限定して検索できます。
例:laravel tutorial filetype:pdf
対応状況:
- 〇 Google
- 〇 Bing
- 〇 Yahoo
・ワイルドカード検索
アスタリスク(*)を使うことで、単語の一部をあいまいにして検索できます。
例:"laravel * error"
対応状況:
- 〇 Google
- × Bing
- × Yahoo
・intitleやinurl検索
タイトルやURLに特定のキーワードを含むページを検索できます。
例:intitle:authentication laravel
例:inurl:docs laravel
対応状況:
- 〇 Google
- △ Bing 一部対応
- × Yahoo
これらのテクニックを組み合わせることで、古いバージョンや過去の仕様、最新のアップデートやリリース情報、特定のバージョンや環境に関する事例など、ピンポイントで信頼性の高い技術情報を効率よく収集できます。
※2025年6月現在
情報収集に適したサイト:信頼性と効率を両立するために
・各ツールの公式サイト
信頼度: ★★★★★
情報の高度さ: ★★★★☆
応用度: ★★★☆☆
読む難易度: ★★★☆☆
更新頻度: ★★★★☆
公式ドキュメントやリリースノート、FAQなどが掲載されており、最も正確で信頼できる情報源です。バージョンごとの仕様変更や推奨される使い方、既知の問題点なども詳細に記載されています。新機能やアップデート情報も頻繁に反映されるため、まずは公式情報を確認する習慣をつけると良いでしょう。
・GitHub公式ブログやリポジトリ
信頼度: ★★★★☆
情報の高度さ: ★★★★☆
応用度: ★★★★☆
読む難易度: ★★★★☆
更新頻度: ★★★★★
最新の開発動向やリリース情報、実際のコード例が豊富に掲載されています。IssueやPull Requestのやり取りから、実際に発生している課題やその解決策、開発者の意図や議論の流れを知ることができます。OSSプロジェクトの進捗や、今後の予定も把握しやすいのが特徴です。
・Stack Overflow
信頼度: ★★☆☆☆
情報の高度さ: ★★★★☆
応用度: ★★★★☆
読む難易度: ★★★★☆
更新頻度: ★★★★★
世界中の開発者が質問・回答を投稿しており、実践的なトラブルシューティングやノウハウが集まっています。特定のエラーや実装方法について、同じ問題に直面した人の事例や解決策を素早く見つけることができます。ただし、情報の正確性や最新性にはばらつきがあるため、評価の高い回答や複数の意見を比較して参考にしましょう。
・Reddit
信頼度: ★☆☆☆☆
情報の高度さ: ★★★★☆
応用度: ★★★★★
読む難易度: ★★★★☆
更新頻度: ★★★★★
最新トレンドやコミュニティのリアルな意見、現場での使われ方などが活発に議論されています。新しい技術やライブラリの評判、実際の導入事例、トラブル時の体験談など、公式情報では得られない生の声を知ることができます。ただし、投稿内容の信頼性は投稿者によるため、必ず他の情報源と併せて確認しましょう。
・IEEE Xploreなどの論文サイト
信頼度: ★★★★★
情報の高度さ: ★★★★★
応用度: ★★★★★
読む難易度: ★★★★★
更新頻度: ★★★☆☆
学術論文や技術レポート、国際会議の発表資料など、最先端の研究成果が集約されています。理論やアルゴリズム、最新技術の動向を深く知りたい場合や、エビデンス(根拠)に基づいた情報を探す際に非常に有用です。論文は専門的な内容が多く難解ですが、要旨や結論部分を読むだけでも有益な情報が得られます。
補足:
公式サイトや論文は信頼性が高い一方で、内容が難解な場合も多いです。まずは概要やFAQ、チュートリアルなどから読み始めると理解しやすくなります。
コミュニティサイト(Stack OverflowやReddit)は実践的なノウハウやトラブルシューティングに強みがありますが、誤情報も混在するため、複数の情報源を照合しましょう。
IEEE Xploreなどの論文サイトは学術論文や技術レポートが中心のため、内容が非常に専門的で難解な場合が多いです。まずは論文の「Abstract(要旨)」や「Conclusion(結論)」を読み、必要に応じて本文を参照すると効率的です。
これらのサイトを目的やレベルに応じて使い分けることで、効率的に質の高い情報を収集できます。
6. 英語文献を効率よく読み解くテクニック
英語の技術記事や論文を読む際、全文を最初から最後まで丁寧に読む必要はありません。限られた時間で最大限の情報を得るためには、効率的な読み方やツールの活用が重要です。ここでは、実践的かつ再現性の高いテクニックを詳しく紹介します。
1. 要約・結論から読む
・目次(Table of Contents)や章タイトルをざっと眺めて、重要そうな部分を見極める
・研究論文なら「Related Work」「Discussion」も参考になる
・公式ドキュメントでは「FAQ」「Known Issues」「Best Practices」なども有用
論文や公式ドキュメントには、冒頭や末尾に「Abstract(要旨)」「Introduction(序論)」「Conclusion(結論)」が記載されていることが多いです。まずはこれらを読むことで、全体像や主張、結論を素早く把握できます。
特に論文の場合、AbstractとConclusionを読むだけで、その文献が自分の目的に合っているかを判断できます。公式ドキュメントや技術記事でも、「Summary」「Overview」「Getting Started」などのセクションを先に確認しましょう。
2. ページ内検索(Ctrl+F)を活用
・エラーコードや例外名で検索し、原因や解決策を探す
・「limitations」「known issues」などで既知の問題点を確認する
・「example」「sample」「usage」などで実装例を探す
・「deprecated」「migration」などでバージョンアップ時の注意点を調べる
自分が知りたいキーワード(例: "error", "install", "performance" など)でページ内検索を行い、該当箇所だけを重点的に読むことで、効率よく目的の情報にたどり着けます。
3. 機械翻訳を活用
・機械翻訳は文脈によって誤訳が発生することもあるため、重要な箇所は原文も確認する
・専門用語や略語は、翻訳結果と原文を見比べて意味を補完する
・英語独特の言い回しやニュアンスは、直訳では伝わらない場合がある
Google翻訳やDeepLのブラウザ拡張機能を使えば、Webページ全体や選択した部分だけを日本語に翻訳できます。難解な英文も大まかな意味をつかみやすくなります。特にDeepLは技術文書の翻訳精度が高く、専門用語も比較的正確に訳されます。また、ChromeやEdgeの「ページ翻訳」機能も手軽に使えます。
4. 辞書や用語集を併用
・Weblioや英辞郎などのオンライン辞書
・各プロダクトやフレームワークの公式用語集
・英語圏のQ&Aサイト(Stack Overflowなど)で実際の使われ方を確認
技術用語や略語は、英和辞書や公式ドキュメントの用語集で調べましょう。とくに、同じ単語でも分野によって意味が異なる場合があるため、信頼できる辞書や公式の用語集を活用することが大切です。
5. 読む順番を工夫する
・目次や見出しをざっと確認し、関連しそうな部分を特定
・ページ内検索やスクロールで該当箇所を探す
・その前後の説明や図表も合わせて読む
・必要に応じて、他のセクションや参考文献も参照
・コード例や図表から先に概要をつかみ、詳細は後から読む
まずは調べたい単語やセクションを見つけ、その前後を読むことで文脈を理解します。必要に応じて、関連する章や図表も参照し、全体像を徐々に広げていくと効率的です。また、図や表、コード例は文章よりも直感的に内容を把握できるため、積極的に活用しましょう。
6. PDFファイルの翻訳方法
・画像化されたPDFはOCR(文字認識)ツールでテキスト化してから翻訳する
・機械翻訳の結果は必ず原文と照らし合わせて確認する
・重要な図表や数式は、翻訳後も原文を参照して意味を確認する
PDF形式の論文や技術資料は、Google翻訳やDeepLの「ファイル翻訳」機能を使うと全文を日本語化できます。また、PDFリーダーのテキスト選択機能で必要な部分だけをコピー&ペーストして翻訳するのも有効です。
7. 英語文献を読む際の考え方
・完璧主義を捨てる: すべてを理解しようとせず、「必要な情報だけを抜き出す」意識で読み進めると負担が減ります
・分からない部分は飛ばす: 重要な箇所やキーワードだけを拾い読みし、詳細は後回しでもOK
・繰り返し読む: 一度で理解できなくても、何度か読み返すことで徐々に内容が頭に入る
・慣れを重視: 最初は難しく感じても、繰り返し実践することで確実にスキルアップできます
7.さいごに
本記事のテーマは「英語が苦手でも、英語から必要な情報を得るには?」でした。
本記事で紹介することができなかったテクニックも多くあります。しかしながら、「英語が苦手」でも、ツールやコツを駆使すれば、少しずつですが、世界中の最新情報や見知らぬ情報にアクセスできるようにもなります。
ひとりひとりに向いた方法も、もちろんあるので、自分なりの読み方やツールの組み合わせを見つけて、ぜひ英語文献と仲良くなりましょう!!
この記事が、読者の皆さんのお役に少しでも立つことができれば幸いです。